まだ幼い頃。
遠くの祖父の家に預けられていることがあったので、
祖父との思い出がいまだにポロポロとこぼれ落ちる。
「おじいちゃん明日はお天気かなぁ?」と祖父に尋ねたある日。
「お空に『もしもし』してごらん。こたえてくれるけに。(こたえてくれるから)。」
と、方言まじりでこたえてくれた。
空に天気を尋ねる方法を祖父は、直接的ではなく、空を介して教えてくれた。
「もしもし」と問いかけることを、そして何も語らないものから感じ取るその心を教わったその日のことを。
台風の後の、澄んだ空を見ながら思い出した。