お花見

今はどこも桜が満開で、今日の日曜は天気にも恵まれてお花見日和だ。

今年は仕事もあってお花見らしいこともできずにコンビニのコーヒーで、あちこちで広げられる宴席の端っこのベンチに腰をおろし花見の気分を味わった。

賑やかな宴の場から一歩引いて、満開の桜と楽しげな笑い声、身振り手振りで話す人々や走り回る子どもたちを見ていたら、実は「この場所が一番いいのかもしれないなぁ」と思えるほど幸せで平和な光景だった。

絵本の中の1ページのような、蒔絵に切り取られたワンシーンの様なそんな一瞬の光景。

でもそこには、共感できる楽しさやウキウキした春の高揚感があって、それは時代を越えても想いを同じくできる素敵なことなのだと思う。

新しい元号の「令和」が発表されて、元となった万葉集の関連本が売れているらしい。

四月二日の朝日新聞デジタル版に、日本文学研究者のロバート・キャンベル氏がそのことについて語っていた中に、万葉集でが題材として詠まれた「梅の花」がある歌について、国書か漢籍かなど色々言われている中で、
「後漢の時代の人々に思いを重ね、目の前にある景色を描いたのではないか」
というのがとても素敵だと思った。

それはきっと、国や時代を越えてもなお想いをひとつにする人の豊かな情緒。
今日コーヒーを飲みながら見た景色を共有することも、いつか誰かとわかり合えることがあるかもしれない。

融和することで広がる新しい世界。そんな景色を想像できた。