七十二候今年5番目

別のところで今年に入ってから七十二候について書いていたが面白いのでここにも書きます。
季節の移り変わりを美しい言葉や感性で暦として表されてるのが心地よくて
今年一年追いかけてゆるっと書いていこうと思います。
今回5番目だから、あと67回。

昨日、二月二十四日から
七十二候では霞始[雲逮]本当はこれで一文字になる→(かすみはじめてたなびく)

春霞のため、遠くの山や景色がほのかに浮かび上がるかの様に見える。
冬のキンと澄み渡った、張り詰めたような空気から、少しずつ緩みぼやけていく。

花粉かもしれないし、pm2.5かもしれないけど、
澄み渡る美しさとはまた違った美しさが現れる。
何れにせよ、冬の間大地に縛られていたものが、天に向けて浮遊するのだ。

少し緩むって、今この時節に大切な様に思う。
冬から春へとやっと身体が寒さに慣れた頃に移り変わっていく
「熱」に向けてのベクトル。

振り子でいうと揺り戻す時。その折り返す瞬間は両方へ引かれる。
その間は一旦停止するに近い。

ブランコでいうと上がり切ってから下がるまでの一瞬。
一瞬内臓が浮き上がったみたいにフワッとなるその瞬間。

変に緊張して力を入れてしまうと、気持ち悪く酔ってしまいそうなあれです。
ぽかんと抜けた時間や、日向を探して何もせずに日向ぼっこをする時間を作りたい。

たなびくは「棚引く」と書くけれど、
「雲に愛」+「く」でも「たなびく」。
「雲に逮」+「く」でも「たなびく」。いずれも今の常用漢字にはない。

「たな」は「ひく」にかかる接頭辞であることから「ひく」という言葉。
緩やかに引かれる様な、ついつい追いかけてしまう様なニュアンスを孕む。
それを雲編に愛とか、
逮(逮捕の逮ですが、意味合いは「およぶ」や「とどく」「おいつく」。

「なびく、靡く」は「風になびく」」みたいに何かによって流される。
鯉のぼりは「なびく」。校旗も「なびく」

「たなびく」はついつい引かれてしまった様にふわりとした意思が宿る。
雲が愛によってついつい引かれてしまったのか?
雲が逮で表す様に追いたい。届きたい思いがあったのか?

なかなか素敵な言葉だと思う。