函館備忘録

ここ何年か半年に一度くらいのペースで函館に来ている。

カウンセリングにお越しくださる方もたくさんいらして、
その場や人とご縁をいただいて、とても楽しい貴重な時間でとてもありがたい。

そして、家族と離れ、広い空や大地や海に身を置いて、一人で生命を充電するように歩き回る。
その時間が年々とても大事なことだと感じるようになった。

豊かな広い大地は天と「とても近いなぁ」と初めて感じたのも北海道だった。
真っ直ぐ立って大地に足をつけること。
当たり前のようで、しっかり天地の間で立っていると、自然と呼吸が深くなるものだと
知ったのも北海道だった。

というより、初めて北海道に出張に来るようになったのは
もうすでに10年ほど前で、その頃の私は大阪から離れることがなかなかできなかった。

娘もまだ小さかったので、一人でどこかに行こうという気になれなかった。

娘が10歳になった頃、私がこれから生きるフィールドを「大阪」とか
「近畿」とか「関西」とかでなく、もっと広い「日本」でありたい。
となんとなく思って、何処かもっと離れたところで仕事をさせていただけたらいいな。
と漠然と思っていた時に、たまたまご縁をいただいたのが北海道だった。

なので北海道が特別「天地が近い」というわけでもない。
でも私にとってそういうことを教えてくれた場所が、たまたま北海道だった。

それ以後、娘も成長して、色んなところに足を運ぶ機会に恵まれる中で
もちろん近畿でも、九州や北陸でも、同じような体験をした。

現在地を離れて、「ここに立っていること」を意識できる場所に出会う幸せは
「地球の上に生きている」ことを教えてくれ、「ちゃんと繋がっている」臍の緒を確かめるような
安心感に触れることができる。

今日大森浜海岸を端から端までを歩いて、カモメやカラスにあって、
色んな人や犬や鳥の足跡を見て、その分け隔てのない姿に安堵した。

そんな居場所が物理的にではなく体験を通した感覚として、これを読んだ誰かの中にもあったらいいな。